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“水耕栽培のコツ!発芽問題解消法を伝授”

低段密植と発芽の重要性

吉川園芸では低段密植栽培という方法でトマトを生産しています。

低段ということで、1段から2段目までしか果実を収穫せず、その後は撤去して、またすぐに植えて、同じハウスで年2-3回転の作付けを行います。また、収穫量が一般的な慣行栽培に比べて少なくなるため、作付け回数と、密植させて栽培本数を増やして、生産量を増やしています。栽培本数は慣行栽培の10a(1反=1,000㎡)当たり、2000~2500本に対して、5,000本定植します。それを年2作だとすると、約10,000本の定植本数になります。

そのため、種を播いて苗を作る作業を年間通じて、暑い時も寒い時も何度も行います。低段密植は短期集中の作型なので、もし、発芽率が悪かったり、発芽が揃わないと、定植本数が確保できなかったり、生育がばらついたりと、管理が大変になります。なので、低段密植栽培では、高い発芽率と一斉発芽が非常に重要な最初のポイントとなります。

今回は、吉川園芸でのトマトの発芽方法について、紹介していきます。

【必要資材】 

〇セルトレイ 72穴

https://www.monotaro.com/p/4372/3908/

〇育苗培土 ミックスピートモス BMー2 

配合 ピートモス(細):70%、バーミキュライト(細):15%、パーライト(細):15%

*業務用のピートモスなので、家庭菜園の場合は、ホームセンターで販売しているピートモス、バーミキュライト、パーライトを 7:1.5:1.5の割合で混ぜて作ってみて下さい!

http://www.kyowa-g.com/shizai/peat02.html

ミックスピート BMー2の組成

〇種 桃太郎ヨーク

https://www.takii.co.jp/CGI/tsk/shohin/shohin.cgi?breed_seq=00000562

〇被覆資材(発砲板、ビニール)

〇割り箸

【手順】

① 土ほぐし

★ポイントー細かく、パラパラに!

カナダ産である育苗培土BM-2は輸送性を高めるためか、約2倍(0.2㎥=7.8 cu ft→0.1㎥=3.8 cu ft)に圧縮されているため、土が固まって、だまになっています。

土が固まっていると、水分を含ませたときに均一に浸透しないため、発芽に重要な水分(湿度)が全体に行き渡らなくなります。なので、まずは袋から土を少しづつ出しながら、ほぐしていきます。ほぐす時ときは、凹凸のある板に押し当てながら、パラパラにして、土を袋から出します。水稲トレイの裏面に押し当てると、簡単にほぐれます。

水稲トレイの裏面

② 土への吸水

★ポイント:多めに水を!

土をほぐしたら、ホースで水を加えます。手で強く握って、水が出てくるくらいが目安。水が少ないと、発芽時にヒーターで温度をかけたときに、表面から乾燥していくので、少ないより、多い方が良いです。水を加えたら、手で混ぜて、水分を全体に馴染ませて、均一にします。

*BM-2はpH調整済みで肥料成分が含まれています。この段階では水に肥料は加えません。

③トレイへの土入れ

★ポイント:適度な押し込み具合を見極める。

72穴トレイに土を入れていきますが、土の詰め具合が重要です。定植時に苗をトレイから抜くときに、詰め具合が甘いと、土が崩れて細根がちぎれてしまいます。具合がわからないときは、固く押し固めていたほうが安牌です。押し固め方は、もう2枚72穴のトレイを重ねて、土を入れたトレイの上から押し込みます。2枚使用するのは、トレイの強度が強くないので、1枚だと割れやすいためです。

もう一枚の72穴トレイを持って、
上から押し固める。

1回目押し込んだら、トレイの空いた凹みにもう一度土を加えて、同じように上から押し固めます。2回目でほぼ押し込みは終了で、足りないところは再度土を加える。最後に表層が凸凹になっているため、手で全体を馴らして完成。トレイの周りに土がついていたら、できるだけ落としておくと、育苗管理の時に土が流れて配管の詰まりや、シートの汚れが防止できる。

④穴あけ

★ポイント:均一な深さの穴を作る。

割りばしを使って、種を入れるための穴を空けます。割りばしは丸形の方が穴が空けやすいのと、先端が尖っていない反対側を使います。穴の深さは大凡0.5~0.75㎝を目安とします。深すぎると種が発芽しても、双葉が地上に出てくるのに時間がかかります。浅すぎると、土の表面が乾燥して、発芽率が悪くなったり、種の殻が脱落しづらくなります。なので、均一な穴を空けるために、割りばしにマーカーを付けておくと良い。

割りばしで穴を空ける様子

⑤種まき&覆土

★ポイント:蓋をして、湿度確保!

種を開封して、小皿に出します。穴あけで使った割りばしの反対側をカッターで削って尖らせて、種が取りやすいようにします。種は乾燥しているので、割りばし先端に付きにくいので、水で少し濡らしてあげると取りやすい。1粒1粒を穴に入れていきますが、集中力が切れるとどこの穴に種を播いたからわからなくなるので、1粒播いたら、蓋をしてあげるように割りばし先端で周りの土で被せてあげます。覆土の具合は、軽く土を被せる程度で、十分です。乾燥だけ気を付けましょう。

桃太郎ヨークの種

⑥浸水

★ポイント:十分吸水するまで待つ。

最後の仕上げとして、培土全体と種全体に水が行き渡るように、1~2cmの水を貯めた場所に置いて、10分程待ちます。トレイの底穴から上に向かって吸水されるので、トレイ表面まで十分に濡れていたら、完了。

⑦静置 3日

★ポイント:隙間なく被覆する。

土の表面の乾燥防止のために、ビニールか発砲の板、新聞紙等を使って、トレイ上部に被せて静置。被覆資材とトレイの間の少しの隙間から、水分が逃げるので、上におもりを置いておくとよい。

温度管理は最低20℃~最高35℃の範囲に収める。発芽までの積算温度でいうと、100~120℃が目安なので、平均温度30℃で管理すれば、3~4日で発芽する。冬場は温度が確保できないので、オイルヒーターで加温してあげる。

多段式の発芽棚にトレイを置いて、発砲板におもりを乗せる

最後に

以上、トマトの発芽方法でした!ポイントとしては、とにかく発芽するまで湿度100%を確保し続けることですね。
種質によって、発芽しないものをありますが、この方法でコンスタントに発芽率は90%以上を維持できています。過去にyoutube↓で説明した動画です。その時からやり方を変えているため、上記説明とは多少異なる部分がありますが、ご参考下さい!

この記事の著者

Yoshikawa

1994年静岡県静岡市生まれ。
自然豊かな福井県で農業を営む祖父母の影響を受け、生き物に興味を持ち始める。昆虫学研究室にいた大学卒業後は、ミャンマーの閉鎖型植物工場事業に携わるが、コロナとクーデターの影響で事業撤退。水耕栽培で美味しいフルーツトマトを作る師に出会い、技術習得中。人生のテーマは”生き物”と”海外”

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